監事について
一般財団法人における監事の役割
一般社団法人とは異なり、一般財団法人では監事は必置とされています。
監事は理事の職務の執行及び会計を監査する立場にあり、その性格・役割からして独立性の強い機関です。
理事らの職務執行等につき、法令定款違反の有無に関する監事の調査等は、多数決による判断はなじまず、監事が複数いる場合でも、各自が単独で権限を行使することができます。
監事の員数
監事の員数は、1名以上であり、その数に制限はありません。
監事の資格
監事の欠格事由は、理事と共通の事由と監事特有の事由があります。
理事と共通の欠格事由
- 法人
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
- 一般法人法65条1項3号所定の一般法人法又は会社法等の規定に違反し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 3.の法律以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その法執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
監事特有の欠格事由
監事は、一般財団法人又はその子法人の理事又は使用人を兼ねることができません。
公益認定法上の制限
公益認定法においては、行政庁が公益認定をする上での認定基準要件の一つとして、監事についても、理事同様、当該監事及びその配偶者又は3親等内の親族である監事の合計数が監事の総数の3分の1を超えないものであること等の定めがなされています(認定法5条10号、11号)。公益認定法6条は、公益財団法人の監事の欠格事由について規定しています。
監事の選任
監事の選任は、評議員会の普通決議で行われます。
なお、理事は、監事がある場合において、監事の選任に関する議案を評議員会に提出するには監事(監事が2名以上ある場合はその過半数)の同意を得なければならず、監事は、理事に対し、監事の選任を評議員会の目的にすること又は選任に関する議題を評議員会に提出することを請求することができます。
監事の解任
監事の解任は、その地位の安定性を確保するため、選任の場合と異なり、評議員会の特別決議(議決に加わることのできる評議員の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあってはその割合)以上に当たる多数)で行われなければならないとされています。
監事の任期
監事の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結する時までとされています。
定款によりその任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会が終結する時までとすることを限度として短縮することができます。
ただし、定款による任期の伸長規定は置かれていません。
監事の報酬
監事の報酬等は、定款でその額を定めなかったときは、評議員会の決議で定めることになっています。
定款又は評議員会の決議では、個々の監事の報酬額を定めることができることができますし、複数の監事の報酬の総額だけを定めることもできます。
複数監事の報酬等総額だけを定めて各監事個々の報酬等額について決定しないときは、監事が協議によって具体的な配分報酬額を、報酬等総額の範囲内で定めることになります。
公益認定法上の注意
公益認定申請を予定している一般社団法人・一般財団法人の場合、行政庁が公益認定をするうえでの認定基準要件の一つとして、監事に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。)についても、理事同様に以下の規制があります。
内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること
支給の基準においては、監事の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定めていること
の定めがなされています。そして、
公益法人は、認定法5条13号に規定する報酬等の支給の基準に従って、その監事に対する報酬等を支給しなければならない」とされ、「報酬等の支給の基準を公表しなければならない
ともされています。更に、
公益法人は毎事業年度経過後3か月以内に(公益認定を受けた日の属する事業年度にあっては、当該公益認定を受けた後遅滞なく)、内閣府令で定めるところにより、認定法5条13号に規定する報酬等の支給の基準を記載した書類を作成し、主たる事務所等に備え置くとともに、行政庁に提出しなければならない。
とも定められています。
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